スプライン関数とそのディジタル信号処理・画像処理への 応用に関する研究
市毛弘一 (K. Ichige), T. Blu, M. Unser
The Telecommunications Advancement Foundation, vol. 18, no. 7(1), pp. 358–365, January 2003.
本稿では, 2つの異なる関数基底を用いて信号を補間する手法として一般化区分的線形補間法を提案し, こうした関数系の信号処理・画像処理における有用性を検証した結果について報告する。
提案する関数系は, 線形近似と同様に近似オーダー(approximation order)が2であり, 階段関数や折れ線を正 確に再構成できる。関数基底は2つの実パラメータ τ と α によって特徴付けられる。パラメータ τ は関数基底の座標に対応するシフトパラメータであり, もう一方のパラメータaは関数の非対称性をあらわすパラメータである。これらのパラメータを変化させることで, 入力信号・画像に関係なく, 近似精度を向上させ最適化を図ることが可能となることを示す。
この補間手法では, 2つのパラメータを, τ=0.21, α=1 と設定することで, シフト線形補間 (shifted-linear interpolation) を再現することができる。ここでは, このパラメータの組み合わせ以外に, τ=0.21, α=0.58 と設定した場合に, シフト線形補間と同様の精度で信号の補間を行うことができることに注⽬する。シフト線形補間では分解プロセスにおいて IIR フィルタを必要としていたが, 後者のパラメータを設定した場合は FIR フィルタのみで構成可能である。これにより, 後者のパラメータはシフト線形補間におけるギブス (発振) 現象を大いに低減できる。
こうしたパラメータを設定した場合の有効性を, 補間操作を用いてディジタル画像を回転した場合のピーク SN 比 (原画像と回転した画像の信号・ノイズ比), 補間後の画像の最大振幅などを検証することを通して評価する。
@ARTICLE(http://bigwww.epfl.ch/publications/ichige0303.html, AUTHOR="Ichige, K. and Blu, T. and Unser, M.", TITLE="A Study on Spline Functions and Their Applications to Digital Signal and Image Processing", JOURNAL="The Telecommunications Advancement Foundation", YEAR="2003", volume="18", number="7(1)", pages="358--365", month="January", note="")